脱「愛国カルト」のススメ 常設掲示板



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15950767:おすすめ読書案内 まさお 2018/06/13 (Wed) 21:01:56
皆さんでおすすめ書物を共有しませんか。

文理は問いません。人文社会科学、自然科学、文芸などなど、なんでもOKです。

基本的にご紹介の仕方にこれといった決まりはありませんが、文献名、概要、どういった関心がある人におすすめか、などご紹介いただけるとよいかもしれません。

個人的には、最近なぜかポパーの名を目にしますので、科学哲学的な視点から国家の秩序構成について知ることが出来るような変わり種に出会ってみたいですね。

皆さんのおすすめ本を教えてください~。
15951461:Re: おすすめ読書案内 ヨシキ 2018/06/14 (Thu) 13:31:58
まさおさん

初めまして。おすすめの本とのことですが、一般文芸でも宜しいでしょうか。もし問題なければ、貴志祐介先生の『新世界より』を推薦いたします。

この小説が優れているのは、差別の構造を浮き彫りにしているということです。一般文芸らしい「ハラハラドキドキ」の物語の中核に、作者の差別に対する視線、考察が存在しています。昔(もしかしたら今も?)の中国文学には雅俗融合という概念があったそうですが、『新世界より』はまさしくそのような芸術性と娯楽性を高度に融合させた物語だと思います。

文庫本だと上中下とあり、そこそこの長さではありますが、中下巻は一気読み必至です。上巻は舞台設定(1000年後の日本)の説明的な印象が強いのですが、人間が獲得した「とある能力」によって大きく変貌した生態系などについて詳しく書かれており、図鑑を眺めるような気持ちで読むと苦痛にならないかと思います。機会があればぜひ読んでみてください。面白いです。
15951505:Re: おすすめ読書案内 クソガキさん 2018/06/14 (Thu) 14:30:48
中川淳一郎著の「ネットのバカ」をオススメしたい。
読んでて耳が痛くなったり、心あたりを言い当てられて心乱されるかもしれないが、ネットにおける現状を直視して、真理を突いている。
例として、著者はTwitterをこう述べている。

Twitterはフォロワー数で全てが決まる。フォロワー数はアカウントの味方で、これが多ければ多いほどTwitterでの影響力や強さが決まる、ドラゴンボールの戦闘力みたいなもの。
フォロワー所謂信者はフォローする人を擁護したりするために、アンチを叩いてくれるのでフォロワーが多いとTwitterで影響力を持つ。
論理や道理の正確さや知識よりも、フォロワーを囲んで数に任せれば我を通せて勝利出来るのがTwitterという場所
15951666:Re: Re: おすすめ読書案内 クッパ革命経験者 2018/06/14 (Thu) 17:45:25
皆さんなら「勇者の証明」とか「希望の国のエクソダス」が合いそうかなと思いますね

あとは普通に「ノルウェーの森」とか「青春の蹉跌」とかですかね…

キワモノなら新書ですが「世界征服は可能か?」が私は好きです
15953300:Re: Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/06/15 (Fri) 20:50:21
ヨシキ様

ご紹介いただきありがとうございます。
もちろん、一般文芸でも構いません。なんだったら漫画でもいいくらいです笑

物語の設定も然ることながら、社会問題として根深い差別を一考する上でも、優れた作品なのでしょうね。
差別のみならず、社会の諸問題に向き合う時に、問題の輪郭を明瞭にさせてくれる存在というものは、大変貴重ですよね。

改めて、ご紹介ありがとうございます!

また何かおすすめがございましたら、皆さんにご共有ください。



15953388:Re: Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/06/15 (Fri) 21:32:31
クソガキ様

ご紹介いただい本は、インターネット、もといSNSというコミュニケーション空間での目に余る他者の言動に物申すといった作品でしょうか。

中川淳一郎は、AO義塾塾長と喧嘩をしていた人という認識しかなく、このような著作を残しておられる方だとは存じておりませんでした。

SNSのようなネット上のコミュニケーション空間は、他者の存在を感知しうる、パブリックな空間だとは思いますが、言わなきゃいいのにと思うようなバカを言っちゃう方が目立つことが多いですね(私だけ?)。
ある社会心理学の研究によれば、対人関係においては、言語的コミュニケーション以上に、表情の変化や身振りのような非言語コミュニケーションから、相手の意図や心情を推測するそうです。
SNSでは、基本的にテクストによるコミュニケーションが主立っており、相手がいかなるものであるを知るにあたっては、言語情報に限られることがしばしば。
こうした見えにくさは、相互のコミュニケーションを慎重に運用させる効果を及ぼすこともあれば、その不透明さが故に、配慮に欠いたコミュニケーションにも繋がりやすいのかもしれませんね。
ご紹介いただい本は、5年前の著作ではありますが、現在においても熟慮に値するだけの価値がありそうですね。

ご紹介ありがとうございます!
15953427:Re: Re: Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/06/15 (Fri) 21:50:55
クッパ革命経験者様

ご紹介ありがとうございます!

名作ぞろいですね。名を耳にしたことがある程度で読んだことはございませんが...。

『世界征服は可能か?』は岡田斗司夫の著作ですね。昔は、東浩紀や大塚英志のような論壇系の若者論に好んで触れていたこともあり、岡田斗司夫も、しばしばチェックしておりました。
若者論の中でも、90年代から00年代のオタク論にハマっておりました。オタク的なものにフォーカスすると岡田斗司夫は外せませんね。内容を詳細に思い出せなくて申し訳ないですが、『オタクはすでに死んでいる』とかですね。

あと覚えているといえば、斎藤環の『戦闘美少女の精神分析』です。アニメや漫画に登場する闘う美少女キャラの特殊性を解体し、それを愛好するオタクの心理的特性に切り込む作品です。

もしかすると読んだことがあるかもしれませんが、一応紹介させていただきます。

15954185:Re: おすすめ読書案内 クソガキさん 2018/06/16 (Sat) 13:28:50
>5年前の著作ではありますが、現在においても熟慮に値するだけの価値がありそうですね。

大いにあります。
この本、すでに著書の中で「自称愛国者による嫌中嫌韓」に触れていますし。
15954320:Re: Re: Re: Re: おすすめ読書案内 クッパ革命経験者 2018/06/16 (Sat) 15:15:31
まさお様

お返事ありがとうございます
オタク論は一時期流行りましたが、いつだったか人を人とも思わぬ所業(風俗的な意味で)をオタク側の人間が提案しているのを見て以降、一切読んでないですね…

最近も痛ましい事件がいくつかありましたが、報道を見ると最近はオタクバッシング的なものも、対になるオタク研究論も両方減った気がしますね
15954817:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/06/16 (Sat) 21:50:25
各位ご紹介いただきありがとうございます。
正直なところ、ご紹介いただけないことも覚悟してはおりましたが、いくつか共有することができ、大変喜ばしい限りです。

聞くばかりではよろしくないので、私からも一つ。

谷岡一郎の『「社会調査」のウソ -リサーチ・リテラシーのすすめ』をご紹介しておきます。

皆様も何かを主張する際に、国や研究者団体、民間組織から公表される、種々の量的、もしくは質的なデータを参照されたことがあると思われます。
しかし、そのデータ自体に問題がないとは断定できません。
確かに、データは、対象の実態やその流動性などをある程度客観的に捉える上で心強い武器ともなります。ただ、だからこそ正確にデザインされたリサーチのもとアウトプットされたデータを見極めるデータリテラシーを養うことが大切になってくるのではないでしょうか。

本書は、そうしたデータリテラシーを身に付ける取っ掛かりとしておすすめ出来る本ではないかと考えます。身近な実例データをもとに明瞭な解説が展開されておりますので、楽しく読み進めることが出来るかもしれません笑

機会があれば、書店に立ち寄った際に、パラパラと捲ってみてください。

それでは。
15961499:Re: おすすめ読書案内 江戸っ子 2018/06/20 (Wed) 22:35:30
 オルテガの「大衆の反逆」を推したいです。
 19世紀はマルクス、20世紀はオルテガと言われるほどの人だそうなので、読まれた方も多いとは思いますが、私事の達成感ともに書かせてください。
 四半世紀以上前、「大学生ならこれくらいのものを読まなくてはいけない」という前振りで始まった英語(当時は必修だった)の授業。一年後、欠席なしで単位を落としました。
 数年前に日本語訳の文庫を読み、先生が言わんとしていたことがいくらか分かったように思いました。語学は専門家に任せてリベンジを果たしたような。
 イタリアなどでのファシスト党の勢力伸長を背景に、スペイン人の思想家によって書かれた本です。100年近くたっているのに現在でも色褪せません。
 読んでいくと、大衆=自分のことしか考えない人(必ずしも庶民のことではない)、貴族=他の多くの人のことを考える人(世襲貴族のことを言っているのではない)という意味で使っていることが分かります。また、革命には否定的ですが(上述の大衆が行うのですからうまくいくわけがない)、それを招いたのは世襲貴族が上述の貴族でなく上述の大衆になってしてしまったからだと手厳しい。また、大衆が強大になったのは、マスコミュニケーションの発達によって、大衆が無責任な発信をできるようになったためだと説いています。これなんか、インターネットやSNSの発達によって、以前なら酔っぱらいのたわごとや便所の落書きレベルと一蹴されていた言説が、まともな言説のような顔をして人々の目に触れるようになったこととダブります。
 また、歴史に学ぶことの重要性について、成功の歴史から学びたがるが、実は成功の歴史からは学ぶものはなく、失敗の歴史から学ぶべきものが多いとその理由とともに説いています。勉強ができる人は間違えた問題をおさらいするのに対して、あまりできない人は正解した問題を眺めたがるようなものかと直観的には理解できました。野村克也監督の「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とか大山康晴十五世名人の「敗局は師なり」という勝負師の言葉にも通じるものがあると思っていました。
15964710:Re: Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/06/22 (Fri) 18:23:24
江戸っ子様

ご紹介ありがとうございます!
大衆社会論の代表的な古典ですね。
ツラい山登りのような読書になりそうですね笑

それはさておき、『大衆の反逆』について、自宅にあった文献辞典やいくつかの書評をざっくり読んでみました。
ご紹介文にもあるように、本書では「大衆」と「貴族(もしくはエリート)」との二項を据え、前者の影響力の拡大による後者の大衆化、ひいては大衆支配による社会の劣化を説き、徹底した大衆批判を展開した文献であるとざっくり理解しました(間違っていたらごめんなさい)。

読む際には、改めて、使用される語彙の捉え方に注意したいですね。本書で使用される「大衆」および「貴族」という語彙は一般的なそれとはかなり異なるように思います。一般的な意味に即して読むと、社会的階級として峻別してしまいそうになりますが、どちらかといえば、人間的な階級としての切り分け、とでも言えるでしょうかね。
その点に注意しないと、かなり誤った読書になるでしょうね。語彙云々の話はオルテガに限った話ではありませんが...。

また、調べてみると、オルテガ自身はヨーロッパ合衆国建設を主張するなど、なかなか西欧中心主義的なところがあるようですね。某構造主義の父なんかはお怒りになるやもしれませんが...笑

とはいえ、大衆社会論の代表的な古典でもあり、かつ、今日の状況を考える材料を得る意味でも読む意義はあると思いますね。しかし、オルテガに終始するのではなく、同時代の彼への批判や、多様な大衆社会論の中でどのようなポジションとなっているのか、そして、その後の大衆社会論の系譜にどのような影響を及ぼしたのかまで、踏み込んでみたいところですね。
15988179:Re: おすすめ読書案内 江戸っ子 2018/07/09 (Mon) 00:54:20
 次の三冊を推します。
1.『パル判決書』の真実―いまこそ東京裁判史観を断つ― 渡部昇一著
2.パール判事―東京裁判批判と絶対平和主義 中島岳志著
3.共同研究 パル判決書 上下 東京裁判研究会編

 1と2は東京裁判のパル判決書の解説書です。ただし、同じものを解説したとは思えない、正反対と言ってもよいくらいの内容です。東京裁判において、パル判事は、1は「日本は悪くないとした」と主張し、2は「A級戦犯とされた被告を無罪としただけで、日本が悪くないとはしていない」と主張しています。
 3は複数の研究者による解説と、東京裁判のパル判決書の邦訳が全文掲載されています。絶版なので書店で見つけることは困難だと思います。私は図書館に蔵書されていたのを読みました。
 1、2を読んで訳が分からなくなり、原典である3を読んでの私の感想を書かせていただくと、パル判事は日本(および当時の列強)に対して大変厳しく断罪していると思います。政府や軍部の首脳だけでなく、広く国民全般をも断罪している。もちろん、法的に有罪と言っているわけではないけれども。それも、そういう列強が作った法秩序だから有罪にならないのだと言っているように思えてなりませんでした。1は都合の良いところをつまみ読みしたように見えてきました。専門外とはいえ、有名私大の名誉教授まで務めた立派な学究の徒ですら、愛国心(と本人が信じているもの)に目がくらむとどうなるか、愛国心の恐さを垣間見たような気がしました。
15989640:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/07/09 (Mon) 23:51:51
江戸っ子様

3冊ご紹介いただいたのですが、仮に3冊読むとして、どのように関連付けて読めばいいでしょうか。
3冊も推していただけたのは喜ばしい限りですが、せっかくなら3者を有意義に活用した読書にしたいので。

ご紹介内容を拝見させていただく限り、関心の中心となるパル判決書の邦訳全文および研究者の解釈に富んであろう3の文献を先に読み、その後、内容の深掘りに向け、1または2の文献を読むとよいのかなとも思いましたが、3の文献、上下巻合わせて1700頁程もある大著となっておりますね。

こうなると、1または2を軸として3による解釈の補強を試みつつ読み進める、という方針が現実的でしょうか。
ある問題に対し、ある程度の知見を深めたくとも、深く掘り下げるだけの時間的余裕のない私のような人間であれば、学術書による梃入れをしつつ、比較的読み進めやすいものを軸にするのがよいのかな、と思う次第。

ところで、「1は都合の良いところをつまみ読みしたように見えてきました」とあるように、1についてはどことなく難色を示されているようですが、どうして今回、1のような文献もご推薦なされたのでしょうか?
15991314:Re: おすすめ読書案内 江戸っ子 2018/07/11 (Wed) 00:38:19
まさお様
 私は以下のように読みました。
 まず、2を読みました。
 パル判決を基にした「ニッポン悪くない論」が流行っているので、パル判決についての本を図書館で探したところ、目に留まりました。読んでみると、ごく常識的なものでありました(パル判事がA級戦犯被疑者全員を無罪としたことは以前から知っていました。また、列強の植民地支配に批判的ということも聞きかじっていましたので、「ニッポン悪くない論」の基にされていることにも違和感を持っていました。2はその違和感に応えてくれるものでした)。
 次に、流行りの「ニッポン悪くない論」の基になるとするパル判決書についての本を図書館で探したところ、1が目に留まり(渡部昇一さんのお名前は聞いたことがありました)読むことにしました。確かにパル判決書を基にした「ニッポン悪くない論」が展開されていました。それも、1だけを読んでいれば矛盾がないようにでした。
 このように、1と2という互いに矛盾する解説書を読んで訳が分からなくなったところで、学生時代の指導教授の言葉を思い出しました。「原典にあたれ」「(前提を無視して)結果だけ(一部分だけ)が独り歩きを始める(から注意せよ)」
 そこで、1と2が正反対の解説をしている3を探し出して読んでみたわけです。通勤電車の読書で2~3か月で疑問は氷解しました。歴史修正の試みに対する検証として、あたる必要のある原典が1冊しかない事例ですので、私たち素人にもできる、まことに分かり易い事例だと思います。
 長くなりました。分割します。
15991341:Re: おすすめ読書案内 江戸っ子 2018/07/11 (Wed) 01:01:35
*続きです
 ですので、より確からしい解説をということであるならば、断然2を推薦します。あるいは3を推薦します。3の上巻の半分近くは当時の専門家による解説です。とりあえず解説だけ読むのもありでしょう。当時の読者の常識であったことが現在の読者にとってはそうではないこともあるので、2のほうが分かり易いとは思いますが、判決書の全文が掲載されていて随時参照できるようにしてあるのは誠実なつくりだと思います。ただ、2も3の解説も、パル判決書にある列強の国民全体への批判的な眼差しがオブラートに包まれている(あまり触れられていない)ように思いました。
 1のみを読むということは絶対にお勧めできません。1は歴史がどのように修正(変造)されるのかを示す分かり易い事例として読むべきです。歴史修正主義に対するワクチンになりえるものとして推薦しました。2または3のようなもの読むなどして十分に抵抗力をつけてからお読みいただければと思います。
 余談ですが、3の解説にも1のような解釈を流布しようとする向きに対する批判が書かれていました。「ニッポン悪くない論」のような「だったらいいな」という都合の良いお話は心地良いですから、昔も今も要注意なのだと思います。
15992709:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/07/12 (Thu) 00:51:14
江戸っ子様

ご回答ありがとうございます。

解説の妥当性から、2、または3を読むことが望ましいのですね。
問題意識として、極東裁判を通じた「ニッポン悪くない論」への懐疑を出発点としているところからも、件の疑わしき語りの論駁を目指されたことが窺えました。
すると、今回薦めていただいた書籍は、江戸っ子様が抱いたような疑問を同じように抱える方々にこそおすすめできるようにも思いましたが、そういった方々以外にも読む意義はありますでしょうか。妥当性が担保された情報を丁寧に読み解き、そうでない情報がどう誤っているかを見定めるような、情報を適切に取捨選択できる力を身に付ける、という意味であれば、極東裁判に関する歴史への語りまでを境界としない広い範囲の方々に向けて薦められるように思いましたが、いかがでしょう。

あと、素朴な疑問なんですが、以下の二点についてお伺いしたいです。

>>パル判決についての本を図書館で探したところ、目に留まりました。読んでみると、ごく常識的なものでありました

 → ここでいう常識とはどういうことを指していますか?教科書的な
   内容のものだと読みましたが、いかがでしょう。
   ただ、江戸っ子様の
   
    「当時の読者の常識であったことが現在の読者にとってはそうでは
     ないこともあるので、2のほうが分かり易いとは思いますが」

   を踏まえると、教科書的なものの外延にまで踏み込んだ意味での
   もののようにも読めましたので、少々気になった次第です。

>>3の上巻の半分近くは当時の専門家による解説

 → 3自体は、1984年に出版されたものですが、ここでいう"当時"とは
   3が出版された期間という意味で問題ないでしょうか。
   
15992752:Re: おすすめ読書案内 江戸っ子 2018/07/12 (Thu) 01:56:48
まさお 様
 「ニッポン悪くない論」の論駁を目指していたわけではないのです。結果としてそうなりましたが。
 私としては、パル判決書の内容をきちんと踏まえての「ニッポン悪くない論」が展開されている可能性を期待して1を読んだのです。賛成できるかどうかは別にして、議論になるレベル(例えば、A級戦犯として東条らをあのような形で裁いたことについての妥当性を否定する議論であれば、パル判決書を基にするのも頷けます。パル判事は、国民を窮地に追いやったことについて責任を追及できるのは国民だと考えていたのではないかと思いますが)の論が展開されていて、そういう考え方もあるのか、勉強になったと思えることを期待して読んだのです。2と同様に立派な(はずの)学者が書いた本なのですから。期待は見事に裏切られ、「愛国心に目がくらんだ」と評価するに至ったわけです。亡くなった方を悪く言いたくはありませんが。
 「ニッポン悪くない論」に懐疑的な方にももちろん読んでいただきたいですが、私としては「ニッポン悪くない論」を信じたい方(特に若い方)に1,2,3をじっくりと読み比べてみてほしいと思っています。常識(通説)を疑うなというのではありません。私が指導教授に教えていただいたように、きちんと疑うべきだと言いたいのです。こういう安手の「ニッポン悪くない論」で真実が分かった気になっていては、その他のことでも推して知るべし、昔の愚を繰り返すことになると思うからです。
 長くなりました。分割します。
15992761:Re: おすすめ読書案内 江戸っ子 2018/07/12 (Thu) 02:15:52
 続きです。
 2について、「常識的なこと」が書いてあったという「常識的」とは、例えばNHKのドキュメンタリー番組で取り上げられるくらいの通説(あるいは根拠のある異説)だという意味で使いました。パル判決で言えば、「A級戦犯を無罪とした」「列強の植民地支配に批判的」「その列強には当然日本も含まれている」「国際法で裁ける悪と裁けない悪とがある」などのことです。
 3の解説を書いている当時の専門家とは、3の出版当時(1984年)のことではありません。3は絶版になった本の復刻版のようなものです。元の本は1950年代後半?(占領が終了して少しした頃)の出版だと書いてあったと思います。3の解説を書いている学者は、東京裁判がリアルタイムだった方々です。
15994216:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/07/12 (Thu) 23:48:31
江戸っ子様

もとは「ニッポン悪くない論」が単なる絵空事でなく、それを妥当な主張二より支えている側面があることに期待して1に触れた、ということですね。結果的に期待外れだったようですが。

「ニッポン悪くない論」に懐疑的な者だけでなく、それを信じたい者にこそ薦めていただいた3冊に触れてほしいとのことですが、信じたい者は、信じたいが故に、(妥当性の有無はどうあれ)「ニッポン悪くない論」を持ち上げる語りにのみ傾倒してしまう、という恐れもあるように思いますが、いかがでしょう。ウェーバーが説いたような価値自由を尊重するのであればわかりませんが...(そもそもそれが可能なら「信じたい」などとは思わないかもしれませんね)。

加えて、質問へのご回答ありがとうございます。
ここでいう常識的とは、「裏付けがある」ということが肝になっているように読めました。通説的なものの他、根拠のある異説とも書かれておりますので、しっかりと筋道立てて論じる、という当たり前の手続きを踏まえて発信される情報のことを指している、という理解で問題ないでしょうか。

続いて、当時の専門家の件ですが、不勉強故の質問で申し訳ございませんでした。改めて調べてみると、3は1952年の『日本無罪論-真理の裁き-』(極東軍事裁判言語部編)を復刊したと何かで見たのですが、同年日本書房から出版された『全訳 日本無罪論』(パル著)という書籍もありました。5人の研究員の解説という点を踏まえると極東軍事裁判言語部のそれが該当するので、やはりこちらだと思われるのですが、52年に出版された両者の違いとは何なのでしょう。単純に研究者の解説の有無のようにも思えましたが、その点いかがでしょうか(質問ばかりですみません)。

15996024:Re: おすすめ読書案内 クソガキさん 2018/07/14 (Sat) 06:07:36
ショーペンハウエルの幸福についてもなかなか鋭い視点で描かれてるので、ドキリとするような金言ばかりでオススメです。


ショーペンハウエル 「幸福について」から

誇りのなかでも最も安っぽいのは民族的な誇りである
なぜかと言うに、民族的な誇りのこびりついた人間には
誇るに足る個人としての特性が不足しているのだということが、
問わず語りに暴露されているからである。

すなわち個人としての特性が不足していなければ、
何もわざわざ自分を含めた幾百万の人間が共通に具えている要素に訴えるはずがないからである。
立派な個人的長所を具えた人は、自国民の欠点を常日ごろ見せつけられているのだから、
この欠点をこそ最もよく認識するわけであろう。

ところが何一つ誇りとすべきもののない憐れむべき愚者は、
たまたま自分の属する民族を誇りとするという最後の手段を命の綱と頼むのである。
これによって息を吹き返し、随喜感激して、
自国民に具わる欠点や愚かさを何から何まで力のかぎり根かぎり弁護しようとする。
15997050:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/07/14 (Sat) 22:12:30
クソガキ様

「生の哲学」に位置づけられるショーペンハウアーの著作ですね。彼の仕事をよくよく知っているわけではないので下手なことは言えませんが、件の思想潮流に位置づけられるだけに、幸福論的なものを世に出しているのも頷けるといいますか...。

世界の存在、ないし人の「生」は根拠を欠くものであるが故に、「生」への根拠を求める意志の否定を救済などと説いた彼が幸福についてどう説いたのかは気になるところ。(概説書を読んだ程度の知識なので、過不足等あればご指摘ください)

民族的な誇りを徹底して批判している点、よく耳にする「国籍しか誇るものがない」という皮肉が頭を掠めました。確かに、今でも彼が批判する民族的な誇りを抱く者は目にしますね。この点は、ベネディクト・アンダーソンの説く想像の共同体と絡めて考えたりできないでしょうかね。

ところで、この民族的な誇りへの批判は本書におけるどのような文脈で書かれたものなのでしょうか。
15997166:Re: おすすめ読書案内 クソガキさん 2018/07/14 (Sat) 23:19:14
>ところで、この民族的な誇りへの批判は本書におけるどのような文脈で書かれたものなのでしょうか。

ショーペンハウエルは本の中で、富と名声を求め続けても仕方ないと断言しています。曰く、「富は海水のようなもので、飲めば飲むほど喉が渇く。名声もこの点は同じである―p68」
「虚栄が、吝嗇と同様に、手段のために目的を忘れる行き方の一つである―p86」

その後に誇りに関する記述が来ます。彼自身、誇りは否定せず、むしろ肯定しています。
「誇りというものが世間一般からは手厳しく非難され排斥されてはいるが、しかし私の推測するところによれば、それは誇り得る何ものももたぬ人たちからおこったことである。
大多数の人々の盲蛇に怯じぬといった風の厚顔無知に対抗していくには、いやしくも何か長所のある人は、この長所がすっかり忘却されてしまうことのないように、みずからの長所を常に眼中に置くのが最も得策である。」
「謙譲の美徳というものによれば、誰でもが拙者も碌でなしでございと言わんばかりの触れこみをしなければならないことになり、そうなると世の中にはまるで碌でなししかいないように聞こえて、見事な画一化がおこなわれるわけだから、謙譲の美徳は碌でなしにとっては結構な発明である。」

この後に先の民族的誇りに関する記述が来るわけです。
要するに、「自分の存在意義や価値を作り、見出す事で『ただ生きているだけ』かつ『他者より優れたるソレを憎む大衆』から自己を守り、確立する事が出来る。ただし、産まれながらの所属する民族や国籍を誇るのは愚か」という事を著者は言いたいのでしょう。
15997333:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/07/15 (Sun) 01:00:38
クソガキ様

ご回答ありがとうございます。

[富・名声] → 否定的
         求めれば求めるだけ苦悩が続く
         ・『ただ生きているだけ』?

[誇り] → 肯定的
       長所として自覚し、個の名誉として抱くもの
       長所を持たぬ有象無象から自己を保護しうるもの
       ・『他者より優れたるソレを憎む大衆』から身を守り、
         確立することが出来る(何が確立されるのか?)

※但し、民族的誇りには否定的
民族的誇りは、個の長所を持たぬ者の最後の砦であり、その唯一の誇りを守るため、自身の至らなさを覆い隠すような愚行を犯しかねないためよろしくない。

ざっくりまとめましたが、認識齟齬等ございませんか?理解が及ばなかった点にはクエスチョンマークを付しています。

ところで、今更なのですが、括弧付きのテクストは、文献の引用個所という理解で問題ありませんか?先ほど、ご回答いただいた中には一部頁番号が振られておりましたので、引用文であることはわかったのですが、以下の括弧付きの文章がどちらなのかがハッキリしませんでした。
大変申し上げにくいのですが、以後は、引用文についてはそれとわかるように頁番号なり振っていただけると幸甚に存じます。

恐縮ですが、よろしくお願い致します。

15997720:Re: おすすめ読書案内 クソガキさん 2018/07/15 (Sun) 09:17:19
>ただ生きているだけ
ショーペンハウエルは、謙虚や謙遜を強いる人間は「誇り得るものも持たず、盲舵に怯じぬ(無知であるが故に愚かな事をする)癖に、誇り得るものを持つ人間を持つ人間に謙虚と謙遜を強いる」と言っています。
つまり、彼らは個を破壊し自分達の仲間を作りたい、しかもその権利をいかにも最もで道徳的だと言いたいが為に謙遜や謙虚さをアピールし、強要するとショーペンハウエルは書いているわけです。
これはオルテガの「大衆の反逆」に書かれている、「今日の特徴は、凡俗な人間が凡俗である事を知りながら、凡俗である事の権利を敢然と主張し至るところでそれを貫徹しようとする」
「大衆はいまや、いっさいの非凡なるもの、傑出せるもの、個性的なもの、特殊な才能を持った選ばれしものを席巻しつつある」に通じるものがあります。
オルテガは、こういった大衆を「ただ生きている、存在しているだけの人間」と評しているので、この言葉を引用しました。

>何が確立されるのか
自分の存在意義や価値。言い換えれば自らの長所です。

あとの解釈は、まさおさんの解釈で大丈夫だと思います。

「」付きの長文は引用です。民族的な誇りの記述がp94にあって、そこに至るまでずらっと書いています。
私が説明するよりも、一度目を通して頂いた方がまさおさんも納得するでしょう。
15998503:Re: Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/07/15 (Sun) 16:34:51
クソガキ様

ありがとうございます。
また何かあれば教えてください。
16014154:Re: おすすめ読書案内 クッパ革命経験者 2018/07/26 (Thu) 18:22:39
ところでみなさん「異邦人」はお読みですか?

最近書店で見かけたのですが、昔あれが動機なき殺人の代名詞みたいな論調ありましたけど、あれって読むとむしろ動機ってわかりやすい部類ですよね?

今はそうでもないかもしれませんけど、みなさんはあれをどう読んだか気になります

個人的な質問が強く出て申し訳ありませんが、読書好きな方々と見込んでよろしければお返事頂きたいです
16016058:Re: おすすめ読書案内 江戸っ子 2018/07/28 (Sat) 10:27:11
まさお様
 ご質問いただきながら二週間以上たってしまい申し訳ありませんでした。
旅に出ており、その間はネットを(原則、新聞もテレビも)見ないものですので。「憂き世のことは全て忘れ」としゃれこんでおりました。
 
一つ目
「ニッポン悪くない論」に懐疑的な者だけでなく、<中略>、信じたい者は、信じたいが故に、(妥当性の有無はどうあれ)「ニッポン悪くない論」を持ち上げる語りにのみ傾倒してしまう、という恐れもあるように思います<後略>
 
確かにそういうこともあると思います。そういうつまみ読みをして書かれた解説書があることが示しています。それでも、耳に心地良い安手の「ニッポン悪くない論」を信じたい方のうちの100人いや1万人に一人でも、きちんと(読書感想文をまじめに書くくらいのつもりで)読む方がいてほしいものです。
 2のようなパル判決の常識的な読み方を自虐史観だなどとして否定し、1よのうな読み方をしてニッポン悪くない論の妥当性を信じる根拠としてパル判決を利用するならば、1だけでなく2の読み方を踏まえたうえで、パル判決を自分で読んで考えてみるということが必要ではないでしょうか。それが自説のために引用するときの常識でありパル判事への礼儀でしょう。特に通説を否定するために利用するのであればなおさらです。
 長くなりました。分割します。
16016069:Re: おすすめ読書案内 江戸っ子 2018/07/28 (Sat) 10:45:58
続きです。
二つ目
ここでいう常識的とは、<中略>しっかりと筋道立てて論じる、という当たり前の手続きを踏まえて発信される情報のことを指している、という理解で問題ないでしょうか。
 まさにその通りです。

三つ目
3は1952年の『日本無罪論-真理の裁き-』(極東軍事裁判言語部編)を復刊した<中略>同年日本書房から出版された『全訳 日本無罪論』(パル著)という書籍もありました。<中略>52年に出版された両者の違いとは何なのでしょう。単純に研究者の解説の有無のようにも思えました
 1952年出版でしたか。うろ覚えですみませんでした。
 後者については不勉強で知りませんでした。「全訳」というところ、「パル著」というところからするとパル判決の全文(日本文)は掲載されているのでしょうね。パル判決に限らず、極東軍事裁判の判決(パル判決のような少数意見も含む)は当該裁判所で公式の日本語訳文が作られていますので、「極東軍事裁判言語部編」の前者は間違いなく公式の日本語版判決です。また、東条らA級戦犯が獄中で読んで「パル判事はわかってくれた」と感激したというのも公式の日本語版判決だと考えてよいと思います。
16016074:Re: おすすめ読書案内 江戸っ子 2018/07/28 (Sat) 10:49:52
クソガキさん 様
幸福論、読ませていただこうと思います。
ご紹介ありがとうございます。
16017754:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/07/29 (Sun) 14:32:31
江戸っ子様

ご回答ありがとうございます。
大変勉強になりました。手が空いた時にでも、ご紹介いただいた文献に目を通してみます。

追記
余計なお世話かもしれませんが、「常識」という言葉の使用には少々気を付けていただきたく思います。よく目にする言葉で、互いに共通した認識であることを前提に使用されていますが、同時に、ブラックボックス化れがちなために、互いの認識齟齬に気づかないままコミュニケーションしていた、なんてことが往々にしてありますので...。ですので、今回、江戸っ子様が用いていた「常識」という言葉の意味を問いました。
説教じみたことを書き連ねてしまい、申し訳ございません。
ではでは。
16020605:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/07/31 (Tue) 23:41:55
クッパ革命経験者様

カミュの『異邦人』ざっと一読しました。

>最近書店で見かけたのですが、昔あれが動機なき殺人の代名詞みたいな論調ありましたけど、あれって読むとむしろ動機ってわかりやすい部類ですよね?

ここで仰られている動機のわかりやすさ、とはどのようにお考えでしょうか。殺害の動機を「焼けるような太陽の光のせい」と書かれている点をベタに読めば、端的にその通りであると読むことはできるでしょうが、そうでないやもしれないので、宜しければご詳説いただきたく。


私自身は、端的に「太陽のせい」であると字面通りに理解しました。確かに、殺人を犯した動機が「太陽のせい」ともなると、道理に合わない不条理さを感じてしまいますが、以下の引用文と殺人に至った際の太陽に苦しむ主人公ムルソーの描写から、動機それ自体は一先ず単純にそう受け止めました。


 母親の葬儀で涙を流さない人間は、すべてこの社会で死刑を宣告されるおそれがある、という意味は、お芝居をしないと、彼が暮す社会では、異邦人として扱われるよりほかはないということである。ムルソーはなぜ演技をしなかったか、それは彼が嘘をつくことを拒否したからだ
(「解説」カミュ『異邦人』p170)


引用文から、社会では、ある場面において、最もらしい行為選択を実践しなければ、その社会から逸脱してしまう、もとい異邦人になってしまうということが読み取れるかと思います。そして、ムルソーは最もらしく意味づけのために振る舞うことを拒む人間であるのであれば、動機それ自体は「太陽のせい」と単純に理解してもよいのかな、と思いました。
※ざっと一読した程度なので誤読の可能性も否定できません。悪しからず。

また、本書の殺害の動機がにわかに信じがたいものとして映るのは、我々自身が実生活のあらゆる事象に対して、最もらしい意味づけを行う(合理的な解釈を実践する)からであるでしょうね。道理に合わなかったり、解釈しがたい出来事は、自身の精神の安定にヒビを入れかねませんから、我々はどうにかそれを理解可能なものとして解釈を重ねていきます。それを所謂一般的な態度なるものとするのであれば、ムルソーの動機語りはまさに不条理で理解しがたいものであるために、「動機なき」と捉えられるのではないかな、と思います。

長々と駄文にお付き合いくださり、ありがとうございました。

16020806:Re: Re: おすすめ読書案内 クッパ革命経験者 2018/08/01 (Wed) 06:49:54
〉まさおさん

お返事ありがとうございました

私なんかはあれの動機は母がなくなって傷心のときにチンピラに絡まれたんで「なんで母が死んでこいつらみたいなのが生きてんだ」って流れだと思ったんですけどね

少なくとも少年犯罪みたいに自分から凶行に走るのではなく、外部がきっかけな時点で昔言われた「理由なき殺人」ではないだろうというのが私が読んだ感想でした

さらにもう少し読み込むなら「太陽」は「神様」の意味で、神様が突き付けて来た「お前の母親死んだけどこんなチンピラは生きてるぞ」って現実が「眩しかった」のかなーとか思うのですが、ちょっと詩的過ぎる気もしてますね

最低限「少年犯罪の犯人と異邦人の犯人は全然違うだろ」という思いが伝われば幸いです
16023144:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/08/02 (Thu) 23:10:12
クッパ革命経験者様

ご回答ありがとうございます。

母は死んだが、突っかかってきたアラビア人が生きている現実の落差に突き動かされ犯行に及んだ、とご理解されたのですね。

申し訳ございませんが、私には今一つ理解が及びませんでした。確かに、ムルソーは、母を愛していることを明言こそしていますが、母の葬儀では悲壮感を表に出さず、葬儀の翌日に女遊びに興じるなど、内容を追う限りでは、肉親の死といえど、心情に大きな揺れを見せるような人物などとは読み取れませんでした。また、「健康なひとは誰でも、多少とも、愛する者の死を期待するものだ」(p82)とも語っており、親密な者の死に対しても淡々とした考えを持つ側面があるところからも、上述のような激情に駆られての凶行とは読み取ることが出来ませんでした。

宜しければ、どのような一文、どのような場面を読んだ結果、ご説明いただいたような犯行動機とご理解されたのかお伺いたい次第です。


>少なくとも少年犯罪みたいに自分から凶行に走るのではなく、外部がきっかけな時点で昔言われた「理由なき殺人」ではないだろうというのが私が読んだ感想でした

ムルソーの殺害動機の原因を、内的理由でなく何らかの外的要因に見出しておられるようですが、だとすると、「なんで母が死んでこいつらみたいなのが生きてんだ」という流れについてはどう理解すればよいでしょうか。ここを読むと、原因をムルソーの内的要因に見出せるようにも思えましたが、いかがでしょう。チンピラに絡まれた(外的要因)ことにより、殺害の意志(内的要因)が生じた、ということであれば、きっかけは外部のものと理解できなくもないですが、だとしても、自分から凶行に走る(内的要因)ということとをはっきりと峻別するのは難しいのではないでしょうか。

16028353:Re: Re: おすすめ読書案内 クッパ革命経験者 2018/08/07 (Tue) 06:33:17
〉まさお様

お返事ありがとうございます

〉母の葬儀では悲壮感を表に出さず、葬儀の翌日に女遊びに興じるなど、内容を追う限りでは、肉親の死といえど、心情に大きな揺れを見せるような人物などとは読み取れませんでした

とありましたが差異はそこでしょうね
私は逆に「外に現れないまでも母の死にとても衝撃を受けていた」と考えておりますのでその後の解釈が大きく異なるのだと思います

どっちが正しいとかいう議論も不毛ですし、誠に勝手ながらこの辺りでお開きとしたいのですが、大変有意義なご意見を知ることができたと思っております
16028920:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/08/07 (Tue) 19:48:42
クッパ革命経験者様

こちらこそありがとうございました。

できれば、「外に現れないまでも母の死にとても衝撃を受けていた」と読み取れる箇所を提示いただけると幸甚といったところですが、お手を煩わせるのも申し訳ないので、私もこのあたりで身を引きます。

また何かあればご紹介ください。
16029209:Re: Re: おすすめ読書案内 クッパ革命経験者 2018/08/07 (Tue) 23:03:49
〉できれば、「外に現れないまでも母の死にとても衝撃を受けていた」と読み取れる箇所を提示いただけると幸甚といったところですが

蛇足かもですが、母を亡くした人が海辺をふらふら歩いて肉親が死んだ時の行動について考えてたら、はたからみればお前それなりに傷ついてはおるんやね、と思うだろうという考えからですね

重ね重ねありがとうございました
16029258:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/08/07 (Tue) 23:27:46
クッパ革命経験者様


ありがとうございます。

『異邦人』の読解にあたっては、作品を根底から支える著者カミュ自身の不条理の哲学への理論的背景を押さえるとよい、とのこと。

彼が抱く不条理の哲学については、『シーシュポスの神話』において詳述されているそうなので、『異邦人』を丁寧に読み解くことをさらなる目標とするならば、是非ともご参照ください。一応、おすすめ、として紹介しておきます。

ではでは。
16033999:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/08/11 (Sat) 23:05:08
ハワード S.ベッカー『アウトサイダーズ』

逸脱研究の名著。マリファナ使用者に焦点を当て、参与観察および面接調査により収集した質的データから、逸脱者としてラベリングされる過程を具に記述している。

本書によれば、逸脱者は、他の人の反応により、謂わば、社会的に構築される。よく耳にする言葉用いて言い換えれば、ある規範を犯した者が、犯罪者としてのレッテルを貼られることにより逸脱者となるのである。
規範に反した者がいても、彼/彼女を違反者と判断する者がいなければ、逸脱者としての行為者は存在し得ないともいえる。

しばしば「レッテルを貼る」という言葉を見聞きするので、その点に着目した研究がありますよーということで、ベッカーの『アウトサイダーズ』を紹介させていただきます。

以上
16042959:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/08/18 (Sat) 16:05:47
どなたか、「ある地域、ある国の社会とは~~というものだ」と論じた結果が、その地域や国に生きる人々に参照され、そして語られていいくことで、論じられたような社会へと変化していったプロセスを観察したような文献をご存じないですか。

例えば、以下のようなものです。

「地域Aは、犯罪者が多い」という語りの発露

 → 人々に「地域Aは治安が悪い」という認識が生まれる
   
   → 地域Aから人々が離れ、行政などによる地域Aの維持機能の衰退

     → 地域の維持機能低下により、犯罪の取締りが弱まる

       → 結果的に地域Aの治安が悪くなった

書店で手に入るようなものでも、CiNiiにあるような論文でも構いません。

宜しくお願いします。
16043481:Re: Re: おすすめ読書案内 クッパ革命経験者 2018/08/18 (Sat) 22:37:07
〉まさおさん

取り敢えずノンフィクションならルワンダの虐殺関係の史料とかなら要望に近いと思いますけどどうでしょうかね
16043644:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/08/19 (Sun) 00:58:27
クッパ革命経験者様

ご紹介ありがとうございます。
できれば、具体的な文献名でお願いします。


くどいようですが、求めているものを再度書き記しておきます。

「社会Aとは~である」という語りがあり、それを参照した人々が社会Aに対する語りに従うように社会Aへの考え方や関わり方を変えていった結果、社会Aが先行していた「社会Aへの語り」通りの社会へと変わった、ということを考察しているような文献です。

正直なところ、扱うトピックについては拘っておりません。虐殺の社会史であれ、消費社会について論じているものであれ、なんでも構いません。
16062019:Re: おすすめ読書案内 一ファンです 2018/09/01 (Sat) 03:38:56
ご要望には答えていませんが、

関連が面白いと思う3冊、アメリカと南米の近現代についてです。

『バナナの世界史』ダンコッペル

『百年の孤独』ガルシアマルケス

『バナナフィッシュにうってつけの日』サリンジャー


これらの共通項は、

コロンビアの政治家 ホルヘ・エリエセル・ガイタン

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%B3


と、コロンビア「バナナ虐殺」1928年

https://matome.naver.jp/odai/2142803750732535501

です。


『バナナフィッシュにうってつけの日』は、関係無さそうなのですが、

この小説が発表されたのは1948年1月末で、主人公がピストルで頭を撃って自殺する、というストーリーですが、

その約2か月後の1948年4月9日に、「バナナ虐殺に抗議して政治家になった」ホルヘ・エリエセル・ガイタンが、暗殺された、「ピストルで頭を撃たれて」、という、

まあ、偶然でしょうが、気持ち悪~い類似が、あります。

それはそれとして、コロンビアではアメリカ資本の暴虐に抗議してボコダ暴動とか起こっている同じ時期、
(そのボコダ暴動で大学生だったガルシアマルケスとキューバ学生代表だった若きカストロがニアミスしていたらしい)

アメリカの富裕層?プチブル?は、海辺のホテルで海水浴など、なかなか優雅な暮らしだったのだなあ、という、感慨深いものがあります。

最近になって、コロンビアは、ゲリラと和解して、再建の道を探っているようですね、

ガルシアマルケスが、長年、小説などで「コロンビアはいろいろひどいこともあるけど、芯はいいところなんだよ~」と発信してきた、祈りみたいなものがかなったのではないか、とも思います。


16062451:Re: Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/09/01 (Sat) 13:55:14
一ファン様

ご紹介ありがとうございます。

三者の関連について、今ひとつ、私の理解が及びませんでした。

宜しければ、それぞれがどういう内容で、どういう関連を見い出せるのかを改めてご説明頂けないでしょうか。

文献A : ~~
文献B : ~~
文献C : ~~

三者の関連 : ~~~

面白かった点や考えさせられる点など
~~

可能であれば、上記のように書き出していただけると、ご説明を受けるこちら側も理解が進みやすくなると思います。

畏れ入りますが、ご対応いただけると幸甚です。
16062626:Re: おすすめ読書案内 一ファンです 2018/09/01 (Sat) 16:40:47
そのようにしたつもりでしたが………わかりづらかったですか?


『百年の孤独』ガルシアマルケス (1967発表 コロンビアの小説 作中バナナ虐殺事件のモチーフあり 1987年ノーベル文学賞受賞)

『バナナの世界史』ダンコッペル (2012発行 ノンフィクション バナナの生態とバナナをめぐる社会史 『百年の孤独』の『バナナ虐殺事件』に言及、考証)

『バナナフィッシュにうってつけの日』サリンジャー (1948発行 アメリカ短編小説)


各々のあらすじはAmazonでもご参照ください。


三者の関連キーワードは、

・「バナナ虐殺」という1928年にコロンビアのバナナでプランテーションで起こった労働者虐殺事件

と、

・「ホルヘ・エリエセル・ガイタン」というコロンビアの政治家

です。

2つのキーワードそれぞれの内容は前コメントのリンク先を参照ください。


面白かった点や考えさせられた点は(読みづらかったので再録します):


三者のうち、『バナナフィッシュにうってつけの日』は、一見、無関係そうですが、

この短編小説がニューヨークで発表されたのは1948年1月末で、そのラスト主人公がピストルで頭を撃って自殺する、というストーリーですが、

その約2か月後の1948年4月9日に、「バナナ虐殺に抗議して政治家になった」ホルヘ・エリエセル・ガイタンが、「ピストルで頭を撃たれて」、暗殺された、という、

まあ、偶然でしょうが、気持ち悪~い類似が、あります。

それはそれとして、コロンビアではアメリカ資本の暴虐に抗議してボゴタ暴動とか起こっている同じ時期、
(そのボゴタ暴動で大学生だったガルシアマルケスとキューバ学生代表だった若きカストロがニアミスしていたらしい)

アメリカの富裕層?プチブル?は、

新婚の若い夫婦が海辺のホテルに泊まって、昼は海水浴や電話でおしゃべり、昼寝、
夜は二人でレストランで食事、など、

今でも普通に羨ましいくらいの、

まるで村上春樹の小説みたいな、

おしゃれないい暮らしだったのだなあ、という、感慨深いものがあります。

この若い夫婦はバナナが好きだったかもしれない、
(なんたってタイトルが『バナナフィッシュ』)

レストランの食事のデザートや朝食には、甘~いバナナを食べていたかもしれない。

しかし、その、おいしいバナナがやって来た土地では、
同じ頃、政治家の暗殺や暴動が起こっていた………
(若造のカストロやガルシアマルケスが、それに巻き込まれて?参加して?いた)

すごいことだ、と思いませんか。国の格差の残酷さ、というか。

アメリカの秘めた凶暴性が怖い、と思いました。

日本は運がよかった、しかしそれは続かないかも、と。



最近になって、コロンビアは、ゲリラと和解して、再建の道を探っているようですね、

ガルシアマルケスが、長年、小説などで「コロンビアはいろいろひどいこともあるけど、芯はいいところなんだよ~」と発信してきた、祈りみたいなものがかなったのではないか、とも思います。



16063291:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/09/02 (Sun) 01:08:51
一ファン様


ご丁寧に再説明いただき有難うございます。

仰りたいことは、わかったように思います。
お手を煩わせてしまい申し訳なかったです。

気が向いたら、ご紹介いただいたものに目を通してみます。

16063414:Re: おすすめ読書案内 一ファンです 2018/09/02 (Sun) 04:47:22
コロンビアの作家 ガルシア・マルケスは、「アメリカの秘めた暴力性」に若くして気づいて
(というかコロンビアなど南米諸国ではその暴力性は割りとむき出しだったのですが、『バナナの世界史』参照)

それに自らおめおめと乗ってしまってボコボコにされた祖国、を、

あまりヤケにならずに、見つめて書き続けた人ではないか、と思います。

気づいたきっかけは、ボゴタ暴動の渦中で

「結婚式にでも出られそうなパリッとしたグレーのスーツを着た
男が、暗殺犯を襲うよう、群衆を扇動しているように見えた」

「私は、その男が、真犯人を隠すために、わざと群衆を扇動したのだ、と感じた」
(Gマルケス 絶筆『生きて語り伝える』より)

そのモヤモヤが、ガルシア・マルケスの一つの原点になった。


1987年のノーベル文学賞は、そこを分かっての授賞だったのだろう、と思います。

ビル・クリントンもまた、若くしてそれに気づいた、それが政治家としての原点となった、ようだ。


それにひきかえ、今の日本、

アメリカ様(しかもトランプ、まさにアメリカの暴力的な資本家の典型!)の御威光を、

自分だけ!の権力闘争に、恥の意識もなく利用する、安倍 は、

南米のかつての破綻国と、全く同じ轍を踏んでいる、と思われる。

危ない、と思います。


「外国と外国資本家の御威光を自分だけの権力闘争に恥の意識もなく利用する独裁者」を描いたGマルケスの作品が、

『族長の秋』ガルシア・マルケス 1975発表

です。これもまあまあオススメです。

そのタイトルには、

「自分だけの権力闘争に外国勢力を恥じの意識なく利用する独裁者」
は、大統領とか、総理大臣とかは呼べない、

せいぜい、 族長 がいいとこだよネ、という、

皮肉が込められている、と思います。

この皮肉はまた、現在のアメリカ大統領に、ピンポイントでブッ刺さりますね(大笑い!)



16063538:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/09/02 (Sun) 08:15:44
一ファンです様

ご丁寧なご説明痛み入ります。

その手の話には疎いもんで、勉強になりました。

ありがとうございました。
16064851:Re: おすすめ読書案内 一ファンです 2018/09/03 (Mon) 05:20:20
しつこくてすみません。

サリンジャーとガルシア・マルケスについて、またGマルケスの推薦本について。


サリンジャーの『バナナフィッシュにうってつけの日』と、

コロンビアのホルヘ・エリエセル・ガイタン暗殺事件、は、おそらく、全くの偶然の類似だった、と思われます。

しかし、どうも作者のサリンジャーは、後に?いち早く?その類似性に気づいて、内心、ものすごく気にしていたのではないか?とも、思われるのですね。
これは全くの私の推理ですが。

『バナナフィッシュ』が、冒頭におさめられている短編集『ナインストーリーズ』の、最後9番目は『テディ』という、また気持ち悪い短編ですが、

『テディ』が発表されたのは『バナナフィッシュ』から5年後(ガイタンの暗殺死から5年後)の、1953年です。

その内容は、テディという天才少年が、記者会見で自分の事故死を予言して、その直後に、事故が起こる場所に自分で歩いて行って、予言通り死ぬ、というストーリーです。

死の直前に、大勢の人・記者に囲まれていて、そのまま暗殺現場に自ら歩いて行って、白昼、大勢の人の目の前で暗殺された、ホルヘ・エリエセル・ガイタンの状況と、似ている、と思います。

これは、繰り返しますが、全くの私の推理です。

「サリンジャー」「ナインストーリーズ」なんて、お洒落な都会の女子高生あたりが好きそうな小洒落たイメージですが、

ちょっとこんな風に、陰謀本?みたいにも読めるよ~♪、と、指摘します。

百田さんあたりなら、このネタを無駄に膨らませて、無駄に分厚い陰謀本の一冊でも書きそうですね((笑)
(もしそのときはネタ元はココ!ということで(笑))



私的には、そんなこだわりのサリンジャーよりも、ガルシア・マルケスの本をお勧めしたいです。

ただ、ガルシア・マルケスの小説は、通称"マジックリアリズム"と呼ばれ、

つまり、私に言わせれば、エロ・グロ・ナンセンス です。

『百年の孤独』は、エロとナンセンスが前面に押し出されていて、まだ読みやすいですが
(規律の厳しかった一昔前の中国では、エロ本として人気があったらしい?)
(冒険ヒーロー本としても読める、本当にいろんな読み方が出来ます)

『族長の秋』は、グロがてんこ盛りで、真面目な?繊細な?人には嫌遠されるかも。


しかし、ガルシア・マルケスは、もと新聞記者でして、ノンフィクションも書いています。

真面目な人にはそちらがお勧めです。

『戒厳令下チリ潜入記』(岩波新書)は、一番お勧めですね。

ピノチェト政権下のチリに、スペインへ亡命した若いチリ人の映画監督(チリでは政治犯・お訊ね者)が、変装して潜入した顛末のレポートです。

『誘拐の知らせ』も良いです。コロンビアで頻発していた?誘拐のノンフィクションです。




16064972:Re: Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/09/03 (Mon) 08:38:53
一ファンです様

うわ~、すごくお詳しいですね!
ありがとうございます!

また色々教えてくださいね!
16066094:Re: おすすめ読書案内 ヨシキ 2018/09/04 (Tue) 00:08:53
まさおさん

しばらく覗いていなかったのですが、コメントが結構伸びていますね。こういうスレッドは貴重だと思います。

ところで、まさお氏はこのスレッドでの過去の御発言かからするに相当の読書家と拝察いたしますが、大江健三郎先生の「セブンティーン」はお読みになったことがありますでしょうか? さすがに有名すぎましたかね……? 自分の弱く頼りない心を(作中では、右の)思想で鎧う若者、これを非常にリアルに描いた作品だと思います。この短編には続編があったらしいのですが、右翼団体の脅迫により単行本化は見送られたとか……。それだけリアルな小説ということなのかもしれません。右翼少年の話ではありますが、立場的には左に近い私でさえちょっとドキっとするところがあるくらい、心の武装(あるいは世間からの隔離)というものを精彩に描いた作品です。

もしまだお読みでなければ、ぜひぜひ読んでみてください。新潮社の『性的人間』の中におさめられています。おそらく図書館で借りることできると思います。既読でしたら申し訳ありません……。
16066248:Re: おすすめ読書案内 一ファンです 2018/09/04 (Tue) 04:09:36
お褒め頂いてありがとうございます。

蛇足ですみませんですが、

サリンジャーについてのマイ推理の続き、です。

(万一、百田さんあたりにどや顔で書かれたりすると業腹なので、ついでに書かせてくださいませ(謝))

~~~~

「サリンジャーの『ナインストーリーズ』が、コロンビアの暗殺された政治家 ホルヘ・エリエセル・ガイタン を意識して書かれたのではないか?」

という、推理をしたのは、私だけではない、と思います。

おそらく、出版された当時のアメリカでも、当然のことながら、そう感じた人がいたでしょう。

当時、アメリカ資本の暴虐に、昂然と抵抗するガイタンについては、アメリカ政府も、鬱陶しく感じていたと思います。

その暗殺に、CIA が直接、関係したかどうかは分かりませんが、
(Gマルケスはかなり疑っていたようだ)
(あり得る話だと思います、CIA がキューバのカストロ暗殺を何度も企てたのは今ではアメリカ人も認めている事実)

南米コロンビアの、反アメリカ集会で、その中心指導者であるカリスマ政治家が、暗殺された、

というのは、

そりゃ、アメリカにとっては、触れられたくない、微妙な話でしたでしょう。

おりしも当時のアメリカは、マッカーシズムで「赤狩り」が苛烈を極めた時期。

サリンジャーも、「南米諸国の反アメリカ勢力と通じる"赤"ではないか?」と疑われて、

FEIなど?に、マークされたのではないか。

それに怯えて、サリンジャーは、「隠棲」して「変人」で「寡作」の、
謎の人気作家、と呼ばれるようになったのではないか。


……という、私の推理です。

裏付けはないですけどね。

以上、打ち止めです。


ちなみに推理小説では、有名どころですが、

最近、『時の娘』を読んで、面白かったです。

リチャード三世についての歴史推理ものですが、
数年前、リチャード三世の骨が発掘されて、顔が復原されましたよね。


16066814:Re: Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/09/04 (Tue) 15:56:39
ヨシキ様

ご紹介ありがとうございます!
読書家だなんて呼ばれる程、本を読んでいるわけではありませんよ(汗
大江の『セブンティーン』も、名前こそ知ってはいても読んだことはありませんでしたし...。


閑話休題。
ご紹介くださった作品について、ざっくりと内容を調べてみました。
自身のみすぼらしさや死後の無の継続への恐れなどから、激しい自己嫌悪に陥った青年が、右翼の演説から啓示を受け、自己の不安定さから回復してゆく、という流れがあるそうですね。

ヨシキ様は、心の武装と表現されていますが、泥濘んだ自己の足場を固めてゆく自己の再生物語としても読めたりするのだろうか、と思いました次第。

面白そうですね。
暇を見つけて読んでみます。

16066979:Re: おすすめ読書案内 ヨシキ 2018/09/04 (Tue) 18:16:28
まさお様

お返事ありがとうございます。ぜひぜひ、お暇なときにでも目を通されてみてください!

>>泥濘んだ自己の足場を固めてゆく自己の再生物語としても読めたりするのだろうか、と思いました次第。

確かに、そういう読み方もありそうですね!
私も読み直してみようと思います。
ありがとうございました。
16067524:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/09/05 (Wed) 00:43:07
一ファンです様

わ〜、すごい明快な推理ですね!
一ファンです様の聡明さがひしひしと伝わってくるようです!

また色々教えてくださいね!
16067577:Re: おすすめ読書案内 一ファンです 2018/09/05 (Wed) 02:53:57
妄想と紙ひとえ(キ○ガイと紙ひとえ)ですけどね。

しかし、マッカーシズムの「赤狩り」は、ハリウッドなど映画界の文化人をターゲットにしてもあった事実ですし、

まあ、思想弾圧ですね、

小説家などもターゲットにされたかも、というのはそう荒唐無稽ではない、と思います。


「赤狩り」のように、アメリカには、頑迷で自己中な、反知性的かつ暴力的な一面もおおいにある、

(「アメリカの中庭」と言われた中南米諸国は、それを骨身に染みて知っている、のではないか)
(Gマルケスの小説にはそういうのがチクチクでてきてニヤニヤさせられる)

ですので、「アメリカでは、~~~」という、アメリカ様のご印籠が目に入らぬか的な言い方、思考停止ワードとしての使い方、は、

日本人もそろそろやめるほうが良い、

そして、そう言う人は一旦疑って見るほうがよい、

と思います。


16068176:Re: Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/09/05 (Wed) 18:18:48
一ファンです様

>「アメリカでは、~~~」という、アメリカ様のご印籠が目に入らぬか的な言い方、思考停止ワードとしての使い方、は、日本人もそろそろやめるほうが良い、そして、そう言う人は一旦疑って見るほうがよい、と思います。

そうですね~その通りですね~ダメですよね~
16073456:Re: おすすめ読書案内 まさお 2018/09/09 (Sun) 18:11:39
大江健三郎『セブンティーン』

読了しました。


ざっくり要約
自身の劣等感から他者の目を恐れ、社会の中での孤独を感じ、かつ、永遠に無となる死後の恐怖に苛まれる青年が、右翼的思想に触れ、脆弱な自意識を回復・強化していく様を具に叙述した短編作品。


以下、感想。

右翼的思想に感化されたことを切っ掛けに、世間の眼差しや死後の恐怖から弱り切った自意識を、他者を蹂躙する破壊的な方向へ解放してゆく姿が生々しく描かれておりました。しかし、強烈に自己を矯正する「思想」という存在の激烈な側面を感じるだけでなく、同時に、自己なるものは他者の存在により強く規定されるものでもあると実感しました。

本作の青年が抱いた劣等感も、謂わば、自身のみすぼらしさが他者にどう受け取られるかを知っているが故に、生じたものであると思います。なので、青年が抱いた自意識の脆弱さは、他者関係を前提にしたものではないでしょうか。そして、右翼思想による自意識の強化は、思想そのものによる効果というよりは、思想を切っ掛けにした他者関係に持ち込まれる権力※の逆転から起こりえたものなのかもしれません。

本作では、右翼思想によって世界への恐怖から解放された青年の姿が描かれておりますが、他者関係の再構築による自己の回復と考えると、別段、右翼思想でなくともそれが達成されうる可能性もあったのではないかとも思いました。趣味でも学問でも、他者に優越できる切っ掛けがあれば、必ずしも右派に転じることもなかったかもしれませんね。


※ここでいう「権力」について
 政治的、社会的地位に限定しない人と人との間で働く力程度の意味で使っています。